月霜の樹林

La bave du crapaud n'atteint pas la blanche colombe...

【書評】最近の作品から1  

 最近手にした作品から、興味を惹かれたものや参考にしたいものを幾つかPickupしてご紹介しようかと。なお"書評"と銘打ってはおりますが、当blogでは所謂論評や批評・採点式の評価は行っておりません。悪しからずご了承下さい。
 
【Utility】
□1.50までのバージョン識別(スロット様)□ /対象Lv.無し 時限式Board(2013/08/30まで)

  エンジンの版(Version)を判別する為のシステムリソース。状態異常等を上手く利用したパッケージ内部での処理は大変参考になる上、どのVersionでもエラーを吐かずに対応してくれるスグレモノ。特定の版専用の作品や複数のエンジンに跨がる様なScenarioを作る際には大変重宝します。
 
□風聞の暗躍者□(ライチ様) /対象Lv.無し 私家版
  『情報屋』を介して自身の情報や他の同業者の噂を売買する形式のクーポン配布Scenario。単に称号を貼り付けるだけの味気無いものと違い、演出にリアリティがある上、網羅された称号(フレーバークーポン)も職業や口調、血液型から生い立ち、趣味、果ては持病(!)までと多種多様。PCの細かな性格付けならば恐らくこの作品だけでほとんど間に合ってしまうのではないかと思います。他の作品とのクロスオーバーも多岐に渡る上、大金を積めば自分達の手柄を捏造したり悪評を揉み消したりする事も可能…と、こと情報関係に関しては非常に緻密に作り込まれたクーポン配布Scenarioの白眉とも言うべき秀作です(13/05/04追記:最新版はver1.50のみの対応になりました)。
 
【読み物】
 今回は二作ともバルドラ様(Valdla Vale)の作品から。

□アンタレス□ /対象Lv.無
  宿の娘さんに頼まれて真夜中の街にお使いに出掛ける、ちょっと不思議な気配が漂うお話です。お金(sp銀貨)の代わりにジャガ芋を持たされたり『生命の塊』とも言うべき朱い宝石が通貨になったりと、読み進めて行く内に何時しか夢幻の狭間に迷い込む様な奇妙な錯覚を覚えてしまいます。また、同じ作者様の別Scenarioを遊ばれた方は以前見知った登場人物と思わぬ再会をする事になるかも。
  なお児童文学に明るい方ならば宮澤賢治の『銀河鉄道の夜』に登場する『さそりの火』を想起するかと存じます(実際、賢治の作品では『蠍』は『改悛する罪人』の象徴として『双子の星』にも登場しています)。何度も読み返してみたくなる、何処か懐かしいお伽話の様な珠玉の小品です。
 
□そこから□ /対象Lv.3-10
  市井で慎ましやかな人生を送っていた初老の男が、勇気を振り絞って『やくざな』世界に飛び込むまでを描いた肖像画の様な趣を持つ作品。遺跡で頓死した老父の遺骨回収と言う依頼とその顛末をPCの視点を軸に、時には依頼人の視点も交えながら、堅気の人間が『冒険者』と言う危険で何の保障も庇護も無い賤業への第一歩を踏み出すまでの葛藤や不安、それを乗り越えられるだけの自由や未知への憧れと言った『心の軌跡』を、ちょっとした所作やさりげない会話の中から巧みに描き出しています。
  先日更新された版では素材提供者様による書き下ろしの専用キャスト画像も合わせて同封される様になり、また依頼人のその後を描いたリプレイも登場する等、一つの物語を介してユーザー同士の新たな交流が生まれている様です。貴方の宿に飛び込んだ依頼人はどんな人生を送っているのでしょうか?新たな門出に、乾杯!
 

category: *Review*

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