月霜の樹林

La bave du crapaud n'atteint pas la blanche colombe...

【書評】最近の作品から2  

 今回はこれぞ『生命を賭けた冒険活劇!』をテーマに、3つの作品をご紹介します。
 
 先ずは最近、素晴らしい探索Scenarioを発表されている虻能丸様の二作から。

□闇に潜む息□ 対象Lv.4-6
 ・土砂降りの山中で狼の一団に追い詰められた冒険者達。最早これまでか!?と思ったその時、打ち捨てられた洋館に辿り着きます。しかしその廃屋の周囲には、相手を一瞬で石像に変えると言う能力を持つ鶏の大群が…。命からがら廃屋に逃げ込んだ冒険者達の運命や如何に?そして物騒な鶏の正体とは?
 石化能力を持つと言われる伝説の魔獣コカトリスを主題とした本作は探索ものとしても非常に高い完成度を持ち、なおかつStoryも冒険者達の選択肢の幅が広いマルチエンド方式と言う、各所のバランスが絶妙な作品です。石化対策の薬品をはじめプレイヤーへの適切な配慮が随所に施されており、廃屋の調査を進めるにつれて『鶏』の正体や窮地からの脱出方法を冒険者達の目線で試行錯誤しながら考えて行く描写にもリアリティがあります。お化け鶏と洋館の謎を解き明かすも良し、力押しでお化け鶏を蹴散らすも良し…ですが、戦闘の難易度もかなり高めです。体力と戦略、回復手段(特に石化対策)に余程自信が無い限りは特攻は即座に全滅へと繋がりますので御用心。

□暴虐の具現者□ 対象Lv.6-8
 ・領主からの緊急の依頼で辺境を荒らす亜竜退治に赴く冒険者達。しかし一足先に縄張りへと向かった先遣隊は壊滅し、冒険者達も亜竜の奇襲攻撃を受け同行した討伐部隊とも逸れてしまいます。生半可な方法では倒す処か傷付ける事すら困難な化け物を相手に、人里離れた山中で冒険者達の死闘が始まります。
 この作品では『一筋縄では行かない』相手を倒す為に、プレイヤーの分身たる冒険者達は現場にあるもの――先遣隊の遺した資材や情報――全てを駆使して戦略を立てる事が求められます。しかも場所は敵の縄張り(要はアウェー)の真っ只中。亜竜の襲撃をかい潜りながら天候や地形、植生と行った地の利をどれだけ上手く作戦に取り込めるかが生還への鍵になります。なお画面上には探索mapが表示されるので、プレイヤーは索敵や探索の成否をリアルタイムで把握する事が出来ます。また討伐部隊唯一の生存者である女性騎士との連携は、発動のタイミング次第で非常に強力な援護射撃になる事でしょう。冒険者達が英雄として帰還するか、或いは山中に屍を晒す事になるか…全てはプレイヤーの頭脳に掛かって来ます。

 次は重厚な主題と引き込まれる様な雰囲気の作品を発表されているuta様の作品から。

□神経廻廊□ 対象Lv.6-8
 ・魔術師学連から依頼で廃病院に巣喰う亡者退治に赴く冒険者達。人目を避けるかの様に山中にひっそりと佇むこの施設には、死者のみならず別の異形の化け物が幾つも囚われておりました。探索を進めて行く内に明らかにされるのは吐き気を催す様な凄惨な事実。自らの信念と良心を取るか、それとも割り切って依頼人の信頼と多額の報酬を選ぶか、或いは…全てを記憶の片隅に封印し事実に背を向けるか、冒険者達は重い決断を迫られる事になりますが…。
 精神病院での人体実験とその顛末を背景にした、終始陰鬱な雰囲気が漂う探索シナリオです。冒険者同士の何気ないやり取りの中にすら修羅場を潜り抜けて来た熟練者のみが持つシビアな諦観と生半可な感情論なぞ切り捨てる様な冷徹さが滲み出ており、彼等の軌跡が決して平坦なものではなかった事が窺えます。また奇襲攻撃こそ無いものの、院内に幽閉されているモンスターは何れも手強いものばかり。闘う前に予め弱点を掴んで置かないと痛い目に遭う事は必至です。とは言え余力がある冒険者達ならば、逆にモンスターを生け捕りにして学連に差し出す選択肢も有りますが…。
 現実社会においても、山中教授のノーベル賞受賞を機に生命科学分野への関心が高まりつつありますが、その一方で行き過ぎた技術の暴走を懸念する声も少なからず上がって来ています。『人としての尊厳』すら奪われた『モンスター』の断末魔の叫びは、冒険者達、或いはプレイヤーに一体何を伝えようとしているのでしょうか…?


 ※入手先:何れも公式ファンサイト内Guild
 

category: *Review*

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