月霜の樹林

La bave du crapaud n'atteint pas la blanche colombe...

【書評】真夜中の怪談…  

 ご無沙汰しております。
 本日は送り盆。京都では大雨の中、五山の送り火が点されました。そこで本日はこの時期に相応しく、少し怖い作品をご紹介しようと思います。

 なお敏感な方はくれぐれも御守りの準備を怠り無く…。
 
□雨宿りの夜□(98様)   /対象Lv3-4 6人 本体ver1.50以上

 宿への帰路、急な雨に襲われ廃屋へと避難した冒険者達。今はもう、誰も住んでいない森の奥の館を一夜の宿に定めて一行は思い思いに過ごします。――夜も更け、胸騒ぎを覚えて起き出した彼等の内の一人が見たものは、全く別の人格を宿したかの様に異常な振る舞いを続ける仲間達の姿でした。曰く付きの館の中で、自身をも侵す得体の知れない何かに抗いながら仲間達を正気に戻す為の冒険者の孤軍奮闘が始まります。
 第17回鈍色の箱で第一位に輝いた98様のホラーシナリオ『雨宿りの夜』は、心霊スポットに迷い込み霊障を受けた冒険者達が、廃屋に残された手掛かりを用い、或いは仲間に憑依した亡霊の遺恨を晴らしながら、この騒動の黒幕と対決すると言う脱出ゲームの王道の様な作品です。探索部分の操作性も非常に作り込まれており謎解きが苦手な人やタイムリミットを気にする人への配慮も細やかです。また憑依された仲間達を通して情報を得る事で過去に洋館を襲った悲劇と倒すべき黒幕の正体を突き止め、確実に打ち倒す為の算段を組む事が出来る様になります。
 荒れ果てた食堂に鳴り響くオルゴールの寂しい音色は、この廃屋もかつては幸福な家族が憩う安らぎの場所だった事を示すかの様でした。惨劇の夜に囚われてしまった亡霊達は、冒険者の導きで無事に彼岸へと旅立てたのでしょうか…?

 ※入手先:公式Guild

□局外者(時雨屋様)□   /対象Lv.1以上 1人専用 本体ver1.30以上

 妖魔退治の帰途、森の中の廃屋で野宿をしていた冒険者達を襲った悲劇。目が覚めた時には仲間は皆、首筋に奇妙な噛み傷を付けた冷たい骸と化していたのです。唯一人、生き残った冒険者は手掛かりを求めて館の中を探索しますが途中で身体に奇妙な異変が起こっている事に気付きます。そして、最後に突きつけられたのは残酷としか言いようが無い結末でした…。
 ラヴクラフトの短編を基に、望まずして吸血鬼となったしまった哀れな冒険者の顛末を描いた時雨屋様の『局外者』は終始陰鬱な雰囲気が漂う珠玉の掌編です。理由も判らず目覚めた時には文字通りの化け物となってしまった冒険者が、徐々に自分の身に生じた違和感(屋内礼拝堂が怖い、コウモリが怯える等)に不安を覚えつつも仲間を殺した犯人を突き止めようとする姿には、その理不尽さ故に恐怖を通り越して悲哀を感じます。丸腰・駆け出しの冒険者であっても屋内に遺された物を使ってクリア出来る様になっており、また『夢オチ』として物語自体を無かった事にも出来る選択肢がある等プレイヤーへの配慮がとても嬉しい作品でもあります。
 館の主が書き残した言葉。それは自身の末路のみならず冒険者の行く末すらも予言したものだったのでしょうか…?

 ※入手先:公式Guild/時雨屋本店/
 

category: *Review*

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