月霜の樹林

La bave du crapaud n'atteint pas la blanche colombe...

【書評】書物を巡る冒険  

 10/27~11/9は今年の読書週間です。
 そこで今回は、『書物』に関わる作品について取り上げたいと思います。灯火の中で紐解かれる文献には、どんな物語が記されているのでしょうか…?
 

 □13の魔女の話□(Pabit様)/対象Lv.6-9

 冒険者達の前に示された一冊の本。数々の有名な童話が記されたその書物は、実は恐るべき魔女達を封じ込めた「呪本」でした。呪いを解く方法は唯一つ、本の世界に飛び込んでヒロインに扮した魔女を打ち倒す事。失敗すれば書物に「喰われる」と言う危険極まりない御伽噺の中で凶悪な登場人物達を相手に、冒険者達は場違いな死闘を演じる事になりますが…。
 ver1.28エンジン公開時にその特性をフルに活かして製作され、今尚ギミックバトルシナリオの白眉として賞賛されているPabit様の「十三の魔女の話」は無駄な筋書きも思わせぶりな裏話も一切登場せず、純粋に戦闘のみを楽しむ事が出来る戦闘シナリオです。童話の主人公達に扮した敵も皆、一筋縄では行かない相手ばかりな上に冒険者達は「メルヒェンの世界」と言う敵地で戦わねばならず、しかも制限時間以内に決着が着かないと「侵入者」として自動的に「呪本」から追い出されてしまうおまけ付きと言う、攻略には高度な戦略と時の運(カードの配布確率)が必要となります。と同時に、それぞれの敵には必ず何等かの弱点が設定されており、通常のバトルでは役立たずになりがちな盗賊スキルが、それら弱点の暴露と攻略に大きく貢献してくれる事でしょう。色々な隠し要素もふんだんに盛り込まれており何度も挑戦してみたくなる、とても素晴らしいシナリオです。
 なおCardWirthNEXTでChapter6(白鳥の湖)をプレイすると進行停止となる致命的なバグがあります(ギミック演出上の挙動がNEXTのシステムに影響)。この場合は歯車アイコンをクリックして「システム」項目の「死亡時イベントの発火条件を1.50互換にする」にチェックを入れれば回避出来る様です。

 ※入手先:Vector
 ※11/09:「白鳥の湖」のChapterを6に修正しました。

 
 □戯書の冒険□(SARUO様)

 稀代の魔術師が遺した「成果」。全てを見通し別世界の創造すら成し遂げたと言われる噂の真偽を見極める為に雇われた冒険者達は、彼の遺産とも言うべき書物の世界で登場人物を演じつつ探索を行う事になります。頁をめくる毎に示されるのはと或る国に伝わる古びた伝承。さて、魔術師の真の目的は如何に?そして冒険者達が迎える結末は…?
 上記「十三の魔女の話」と同様、書物の中の冒険を扱ったSARUO様の「戯書の冒険」はシェイクスピアをはじめ英国を舞台とした数々の伝承の世界を旅する探索・バトルシナリオです。「異物」扱いとなったPabit様の作品とは異なり、冒険者達は脇役として物語の登場人物と行動を共にしつつ敵を倒す事になります。しかし主人公達が援護してくれるとは言え戦闘の難易度もかなりのもの。また要所要所にある休憩ポイントは使用と引き換えに経験点を失ってしまうので、本格的に攻略を狙うならばプレイヤーの手札を厳しく吟味する必要があります。此方の作品でもボス級の相手には弱点が設定されており、物語の中で入手したアイテムや技能、情報を駆使する事でピンポイントで敵を弱体化する事も出来ます。製作者はエンジンのシステムに精通し数々のリソース等も公開されている方。持ち味とも言うべきパンチの効いた演出に度肝を抜かれたり、或いは笑いを誘われたりと厳しくも楽しい道中になる事は請け合いです。

 ※入手先:公式Guildフレッシュ光(SARUOのワニ邸宅)
 

category: *Review*

tb: --   cm: --